160.固定的原価と流動的不安定な原価
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 6/15(水) 23:21:31  返信も含め全削除

1.固定的で確定的原価の概念
 原価は掛かるものであると主張する人がいる。このように主張する人は、原価の発生自体が確定的で固定的な原価の概念を持っている。もし原価が固定的であるとすれば原価管理の余地がなくなるのであり、コストダウンに誘導することが難しいことになる。実際の原価は非常に流動的に発生するからこそ、管理によってコストを下げることができるのである。実際原価は掛かってしまうと思い込んでいる人は、「掛かるものは掛かるんだ」と強く主張する。たしかに材料費、労務費、外注費及び経費は、一定の工事量に対して一定の金額は確実に発生するが、原価は内容によって掛かるという表現が適切な性質の原価があるが、これとは別に発生するという表現が適切な原価もあり、これらを分離して整理することが重要である。材料費のような原価は、市場の価格変動の影響を受けるが、一定額の材料代は掛かるものである。これに対して労務費や各種レンタル料のように時間の経過に連動して発生する原価は、掛かるという表現よりも時の経過によって発生するという表現が適切である。何故なら労務費等は、自分の意思に関係なく時の経過によって発生するものであり、材料費のような時間に影響を受けない原価とは大きく相違する。労務費等の時間比例費は非常に流動的に発生する特性を持っている。そのため流動的に発生する原価の管理と固定的に発生する原価の管理の仕方は全く違うのである。

2.流動的で不安定な原価の概念と管理手法
 原価の中から材料費を除くと加工費となる。加工費は、常に時間に連動している原価であるから、原価の発生自体が不安定に発生する。何故なら施工をしてもしなくても時間が経過すれば発生する。施工の効率がよくても悪くても原価が同じように発生してしまう厄介な原価である。発生の情況が非常に不安定に発生する原価を、実行予算のような金額によって管理することが難しいのは当たり前である。このように実行予算による金額管理には大きな欠陥があり、どうしても単価の切り下げ管理になってしまう。これを一般的に建材店叩き、下請け叩きと呼んでいる。単価を叩いて低減化する手法は原価管理の本意ではない。むしろ無謀な管理と言うべきである。

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