新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 8/17(水) 10:16:06
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1.江戸時代から続いた談合
江戸時代から続いた談合は、ある意味で市場経済の欠陥を補うシステムであることは間違いない。市場経済は無限大の競争原理が作用するため、弱肉強食の歯止めが掛からない欠陥を抱えている。したがって、関係者が集まって一定の利益確保のため話し合いをすることは、人間の心理として当然の行為かもしれない。しかも、積算技術が幼稚な時代は原価の予測も難しく、工事が完成してからでなければ確かな原価が分らない時代であった。その意味では現代の建設業界でも同じであり大差はない。そこで発注者が幾らの予算を見込んでいるかを探り出し、出来得る限り予定価格に近づいて落札を試みるのは、受注者側の営業戦略でもある。これが江戸時代から延々と続いた談合システムの実情である。このように談合の第一の目的は、落札価格を限りなく予定価格に近づけ利益を確保することにあった。
2.企業体質は談合体質化した
江戸時代から続いていた談合体質はなかなか消えることがない。これには日本の企業体質にも深い関係がある。一般社員も自分の企業が談合によって経営が維持されていることを知らないひとも多い。談合の第二の目的は、社内が年令型の日本的経営に深い関係がある。それは人件費が固定費であり、一定の仕事量がなければ企業の経営は維持できない体質となっている。人件費が固定費であることは、社会主義国の経営体制であり、この固定費である人件費を確保するだけの仕事を配分されなければ、経営資金が枯渇し経営は当然成り立たない。建設業界が長い間安定して経営が出来たのは、この談合による仕事配分制度があったためである。談合は仕事量の前年実績によって配分されたのはそのためである。一般的に談合の目的が、落札価格を予定価格に限りなく近づけるための行為と思われているが、これは今日では二次的目的であって、主たる目的は過年度の実績によって仕事量の配分をすることが第一の狙いである。いずれにせよ今後、談合を続けることが出来ない環境が進んでおり、根本的に建設業界の構造改革と経営革新が求められている。
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