172.実際原価は計算手法の選択によって変化する
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 9/7(水) 10:11:51  返信も含め全削除

1.原価予算と比較される実際原価の課題
 実際原価の計算に利用される減価償却費の計算は、定額法と定率法がある。税法の規定では、個人企業は定額法、法人企業は定率法が規定されており、これを法定償却法という。定率法の初年度の計算は次のとおり。
<耐用年数2年の場合> 取得価額\1,000,000×耐用年数2年の償却率0.684=\684,000
<耐用年数3年の場合> 取得価額\1,000,000×耐用年数3年の償却率0.536=\536,000
<耐用年数4年の場合> 取得価額\1,000,000×耐用年数4年の償却率0.438=\438,000
<耐用年数4年の場合> 取得価額\1,000,000×耐用年数5年の償却率0.369=\369,000

2.減価償却費の定額法と定率法の比較
 前に計算した定額法による減価償却費は、耐用年数2年の償却費は\450,000、3年・\300,000、4年・\225,000、5年・\180,000であるが、定率法の計算と比較すると大きく相違する。この減価償却費の年間発生額を基準に工事ごとの負担額を計算するのであるから、減価償却費の計算方法を定額法と定率法のどちらを採用するかによって、現場の負担額が大きく変動する。法定償却法の定額法か定率法は、個人企業、法人企業のどちらも申告すれば自由に選択することができる。この選択によっても原価計算に影響を与え、非常に不安定要素が多いのである。減価償却費の計算は、他に生産高比例方、償却基金法、取替法等数多くの計算方法があり、いずれも申告すれば採用することが出来る。日本以外の諸外国は、定額法を採用している。

3.法定耐用年数と実態使用年数
 法定年数は、税務当局が全国の平均値を算出し法定化したものである。法定年数4年の場合でも実態は3年で廃棄される場合もあれば、大事に7〜8年も使う企業もある。購入代金についても一括払いもあれば分割払いもある。このように原価発生のメカニズムには不安定要素が多いし、資金の流れについても多様化し、両者は期間計算においては原価の発生と資金の流れは大きく相違しており一致しないのである。

返信する

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.