新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 07/4/4(水) 11:39:44
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1.日本的人の物に対する価値観
日本は資源が少なく物不足の時代が長く続いたこともあって、高度経済成長期までは、物を非常に大事にする文化があった。当時は「もったいない」という言葉が日常的に使われ、物を大事にすることが当たり前であり、その価値観が生活に溶け込んでいた。それが高度経済成長期に入り、使い捨て経済という言葉が使われるようになり、使える物まで捨てるようになった。物は捨てれば捨てるほど景気がよくなるということを実践した。消費者が消費すれば買い物につながり、商店は儲かり、生産者は増産に入り、資材業者は資材が売れる。最終的に自然界から資源を取り出す一次産業まで連鎖反応する。消費者の消費がこれほどまでに経済活動に直接影響を与えるのであるから、景気の変動は消費者の消費活動に関係している。景気変動だけに限定すればこの現象は事実であり、これを実践した日本は大きな経済成長を遂げたのである。これは経済学者のケインズが主張した近代経済学の要旨である。
2.物に対する価値観の揺れ
もったいないという思想であれば、ものは捨てられずゴミは減少する。現代の日本人が通常捨てているゴミは、高度経済成長期の前までは、90%はゴミではなく再利用される資源であったし、家庭内でも各種の行為に転用されていたものばかりである。もし現在の日本人がもったいないということで、当時の状況と同じ行動をとったとすれば、日本の家の90%はゴミ屋敷となっているはずである。したがって、近代経済学の論法は、このゴミ公害が発生しないことと、自然界の資源が無限大であることを前提としている。更に廃棄物公害とごみ公害についての処理コストも検討されていないのである。しかし市場経済の成長メカニズムは、原理的には使い捨てで動いている。今後、ロシアや中国、印度、ブラジル等地球規模で、日本の後追い状態の高度経済成長時代に入ったが、日本は、高度経済成長時代に発生したゴミ公害と廃棄物公害の処理が、未だに未処理で山積みであり、使い捨て経済の後遺症に悩んでおり、人類の将来にも不安が出てきたのである。
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