新規投稿者 高津徹太郎
投稿日 11/10(月) 19:15:23
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(13)工程支援システムから施工支援システムへ
この項は“<22>9.施工支援システムの実行ステップ”として始めたが“工程支援システム”の記述が大部分になったことをお許し願いたい。この項に対しまとめと施工支援システムへの展開を述べて終了することとしたい。なお、施工支援システムの詳細は項を改めて記述することとする。
@工程支援システムは原価管理システム
工程支援システムで使う最小データは作業量・総資源数・作業順序である。この最小データで効率化の検討ができ、時間軸の計画が有効に行えるのである。工程支援システムでは作業を時間軸で並べ、資源の投入計画をビジュアル化(視覚化)し、計画の悪さ加減(3M=ムダ・ムラ・ムリ)を見つけ出し、シミュレーションによって3Mの最小化を狙うのである。この3M最小化シミュレーションが効率化=コストダウンであるため、工程支援システムの運用が原価管理に有効なのである。大幅なコストダウンは時間管理以外に全くない。従って、自分の野帳や市販本の歩掛などを頼りに実行予算を作ることも、請負額と実行予算額を頼りに下請に対し有利に契約しようとする交渉術も原価管理ではなく、また、技術に高まることもない。もし、自由な競争入札のお陰で工事量が伸び、利益が格段に伸びているというなら別であるが…。
A建設会社と工程支援システムの位置付け
バブル崩壊と共に我が国の本音と建て前の使い分け文化にほころびが生じてきた。つまり、右肩上がり時代の建設業経営では、元請の信用で工事を受注し下請の技術力で良い物を安く作るとしてきたわけである。しかし、実際には元請の指示で(監視下で)施工を行い、指示の中枢は「いつからいつまでに○○作業を行え」なのである。右肩下がりの経済環境では、この指示の優劣がコストの差となって現れることを理解なくして対応はできないのである。
現状の施工管理は現場担当者個人に任せており会社では整理していない。このことは建設会社の売り物は“技術”と言いながら施工は個人的な技能で行われていることであり“看板にイツワリ”の状態になっているのである。
下請からの見積が担当者によって違うことがしばしばある。違いの原因は担当者の交渉術だけではない。効率的施工の指示があれば安く契約しても利益が確保できるのである。下請からの見積額は元請の施工の指示状態によって変わる。今迄は、受注環境がそれ程厳しくなかったので「次の現場で面倒を見る」的なやり方が通じたが今後はできない。いよいよ下請による元請の選別が本格化すると共に、一方では交渉術にたけた担当者によって下請の経営が行き詰まることになる。
この項では今迄は困難とされた“会社として管理技術をまとめる”方策として“工程支援システム”を解説したわけである。
B施工支援システムへの展開
“工程”支援システムの考えを少し広げ、四大管理(工程・原価・品質・安全)全般の“施工”支援システムを考えてみると、工程支援システムに品質管理(ISOを含む)と安全管理情報を追加すれば良いことが分かる。これらも作業毎に管理内容が類似するため、標準工程表にこれらの情報を統合化すると計画立案や施工時に有効な情報を提供してくれる。施工管理に有効な情報はこの他に、施工方法に関する情報、ミス・ロスや改善案、その他施工環境などのデータである。それぞれの情報は管理効果に結び付き、それぞれがコストダウンという管理効果を生むことを理解されたい。
講座担当:高津徹太郎 http://www.cadpert.com/kino.htm |