<42>2/1 WBSで作業を正確に拾い出せるか?
新規投稿者 高津徹太郎  投稿日 5/30(火) 17:48:16  返信も含め全削除
 WBSで工程管理をしようとすると次の四つの問題があるので注意が必要である。
  1) WBSで作業を正確に拾い出せるか?
  2) WBSで計画時に起きる問題とは?
  3) WBSで管理サイクルを回せるか?
  4) 一連作業でネットワーク工程表を描くと危険だ!

1.工程計画は「要素作業」で作る
 工程表を描く時の最小単位の作業を要素作業という。要素作業では作業量を設定し、その作業を行う資源と資源数を設定できる。例えば“型枠取付”であれば“作業量=120u、投入資源は大工=12人”と設定できる。こうすると例えば“1日に大工を3人投入として所要時間=4日”と設定することが出来る。更にこれを“所用時間=3日に短縮するには1日の大工=4人”というような検討も可能になる。このように要素作業は、工程表を作ったり、管理効果を高めるシミュレーションをしたりする上で欠かせない基準である。
 これに対し、複数の要素作業が組合わされた一連の作業を一連作業という。例えば“基礎工事”や“躯体工事”などである。例えば基礎工事ならば“基礎掘削・砂利敷き・捨てコン・型枠取付…”などと複数の要素作業で構成している。このため一連作業自体に作業量や資源の設定をすることができない。従って、一連作業に裏付けのある所要時間の設定ができず、工期短縮や山崩の検討もできないことを理解すべきである。ある人は「俺の勘でマスタープランを作り、施工時にWBSで月間工程・週間工程と作ると予定の工期で終われる」と言う。これは納期遵守をしただけである。
 なお、WBSで作る週間工程表も「要素作業」で作っていること気付いているだろうか。ネットワーク工程表のように先に作るか、WBS手法で施工中に作るかの違いは有るが、要素作業の工程表(実施工程表)はいずれ作るのである。もっと言えば、実施工程表が真の工程表であり、これ以外は施工管理の工程表にならない。
 この意味からも「工程計画の段取」をして真の計画工程表をサッと作ることが得策と言える。

2.WBSは科学的処理が苦手
 ネットワーク工程表の基礎理論である“PERT”はコンピュータ利用を前提にした科学的なシステムである。PERTには単純だが三つの描画ルールがあり、このルールで描くと全体工期や余裕の計算ができる(このように数値処理ができることを“科学的”と言う)。この結果“工期短縮や資源の山積山崩を目指したシミュレーションができるのである。一方“WBS”は特別なルールが無く、単に作業を分解するだけである。つまり、WBSに作業の拾い出しのルールを作ることは難しく、拾い漏れを避けることは難しい。
 このように問題提起したら、“WBSをルール化してみよう”という人が居た。ルール化とは標準化のことである。
 「類似工事同士は似る」と捉え、工程計画に馴染みやすくしたのが「工程計画の段取」である。

返信 1 高津徹太郎  投稿日 5/30(火) 17:49:28  削除
<42>2/2 WBSで作業を正確に拾い出せるか?

3.作業の拾い漏れとその影響
 新規工事の工程表は設計書や予算書を参照して作る。しかし、これらの作業名は「積算」を目的に作られており「工程計画」を目的に作られている分けではない。このため工事を要素作業に分解する時は、いつも拾い漏れが起こる状態にある。このことは、例えば若年技術者が作った工程計画には、“住宅の基礎コンクリート”に入れるべき“上下水道用の貫通パイプ設置作業”がしばしば漏れることで分る。そんなことはしないと言う人がいるが、初めての計画から今迄一つも間違わずに計画できる人などいない。
 作業の拾い漏れは工程管理にとって大打撃である。作業する段になって前工程の作業が抜けていれば、後工程はストップする。このように作業の拾い漏れは、数日から数週間の遅れが起ると認識すべきである。工程が遅れると、挽回のために現場は混乱状態になり、技術者自身は忙しくなり、下請は大幅なコストアップに悩まされる。
 元請の技術者は見積金額を判定するため歩掛に対して異常な程の注意を払う。しかし、歩掛の違いはせいぜい数時間だろう。作業の拾い漏れの方が歩掛の違いなどよりも重大であるという認識を持つべきである(工程計画の不備が歩掛を悪くする)。元請の技術力(管理力)がコスト削減を実現すると認識すべきである。前掲の「工程計画の段取」をすると、拾い漏れはずっと少なくなる。

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