新規投稿者 高津徹太郎
投稿日 6/6(火) 16:15:22
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1.マスタープランは正確か?
WBSで工程計画を作る時は一般的に、初めに工期全体のマスタープランを作り、施工間近にWBSで分解し月間工程表や週間工程表(実施工程表)を作る。この時、マスタープランが最も効率的な計画であり更にこれを正確に分解できるならばWBSは有効に機能するであろう。しかし、週間工程表は施工業者のチーフクラスを毎日のように集め(これも膨大なコスト)、“工程会議”を行って決めているのが現状である。WBSで正確に分解できるなら“電話連絡”で済むだろう。マスタープランが不正確だから週間工程表を作る時に打合せが必要になるのである。こうしたことから見て、最初のマスタープランは正確とは言えないだろう。
2.着工時の技術者は超多忙だ
計画ネットワーク工程表は、工事全体を要素作業に分解し順序付けした叩台工程表を作ることから始める。この叩台工程表を元に工期短縮や山崩をシミュレーションして最善計画にするから原価削減効果を生むのである。この最善計画まで作るには通常なら3ヶ月工事でも3週間ほど掛る。これを着工前に作れるかが問題である。
着工時は、発注者との打合せ・関係機関への諸届け・社内向けの資料作り・施工管理関連の調査その他などで担当技術者は超多忙になる。そのため工程計画作成の手間を省き大雑把なマスタープランを作っただけで着工してしまう。この段取の悪さが引きずられ、泥縄式で実施直前に週間工程表を作ることになる。
元請は自分で工事の作業をする訳ではない。元請は施工業者に対し“どの作業をいつするか”を指示するマネジメントが業務である。つまり、元請の主たる業務は工程管理なのである。WBSの工程計画は納期の監視をしているだけである。問題を感じながらも計画工程表の作成はWBSで作るしかないと思っているように見える。
WBSでもいずれは週間工程表を要素作業で作るのである。それならば「工程計画の段取」をして着工前に(要素作業の)ネットワーク工程表を作り、最善計画を目指すべきだろう。
3.但し最初の計画はWBSで作る
計画ネットワーク工程を作るには実績データの収集が必要である。しかし、その実績データが無い時点で、実績データを集めるべき工事の工程計画を作るには(実績データが無いのだから)WBS手法で行うことになる。実は次のようにして最初の工事の工程計画を作った旭川の企業があるので紹介しよう。
まず、数名の「現場支援プロジェクトチーム」を作り、対象とする(小規模・繰返し型)新規工事を選びこの実績データ収集をすることにした。この工事の工程計画はこのチームが中心となり、WBSを使って要素作業に分解し、順序付けし、資源の山崩をある程度考えた計画ネットワーク工程表を作った。当然、この計画は着工前に作った。
最初の計画は実績データが無いため、メンバーだけでなく、経験者・先輩・上司・施工業者などの協力で作ったのである。これは“三人寄れば文殊の知恵”式だから精度の高い計画になると考えた。しかし実施段階で各所に問題が出た。それでもプロジェクトチームが計画したので「誰がやった=責任追及」よりも「ナゼこうなった=原因究明」の方に関心が向いた。また、発生した問題も含めて実施データを集めると次回は今の計画よりも良くなることが理解できた。つまり、管理とは、管理サイクルを回す度に“カイゼン”することが実感できたのである。これらのことは対象工事にふさわしく、メンバーが若かったことも良い方に作用していると感じた。
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