<4>苦悩する入札制度の今後
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/6/22(日) 21:42:41  返信も含め全削除

1.談合の準備も営業活動?
 民間の工事に関する談合事件は、受注者である施工業者が有利な条件で契約するために行われる行為であり、入札に参加する業者が事前に集まって、入札前に事前の話合いの場で落札者を決めることや、入札金額を優位に契約するために業者間で話合いを行い、その合意点を見つけだす行為を談合という。この場合に入札に参加する業者が不明の場合は話合いができないため、第1に入札に参加する業者を探ることが重要である。次に工事内容がどの程度のものであるかを探り、更に工事の予定金額を探ることが談合の準備となる。受注産業ではこの談合の準備も営業活動として捉えている。建設市場において施主の生産意欲が高い場合は、施工業者が優位に立つが、近年の建設市場のように、生産意欲の減退時代は施工業者が不利な状況下に置かれるのである。

2.施工物の機能や品位、品格の不安と合意点
 落札業者が決まり施主との契約段階では難しい問題が山積されている。施主は施工物の品質がどの程度のものを想定するが、設計図書や見積書等の書類で全ての施工条件を表現することが難しい。特に難しい部分は機能のレベルや品位や品格等は、設計図や仕様書等で完全に表すことはできない。施主と施工者の合意点は非常に難しいのである。この点が金額による競争入札の難しさになって現れる。施主としても安ければ安いほどよいとは思わないし、施主はむしろ自分がイメージする品格等を期待するため、価額は高くても自分が期待するものができる方が良いと考える。そのため施主と施工者が決まる前の入札段階で、設計図書や仕様書等だけで競争入札することが如何に難しいかがうかがわれる。

3.特命による随意契約になる必然性
 注文生産は、既成品を生産するのとは違い、施主としては自分のオリジナル製品の生産を注文するのであるから、自分の好み等を詳細に応じてくれることを期待するものである。仮に自分の肖像画を画家に注文する場合、一般競争入札にすることは難しいであろう。色彩の好みや手筋、タッチ等の好みの画風を想定して画家を探すに違いない。画家が決まればサイズを決めて幾らで描いてくれるかの交渉となるであろう。これは特命による随意契約であり、注文生産は随契になる必然性がある。建造物の注文でも絵描きに似た部分があり、競争入札の難しさを物語っている。

4.適切な入札方法の模索
 建設工事に関する入札方式に、適切な方法がないものであろうか。近年の公共工事の発注については、指名競争入札から一般競争入札制度に移行してきたし、公募型、簡易公募型、総合評価方式等各種の入札方法を試みてはいるが、決して満足できるものではない。世界的にみても各種の形態があるが、いずれの国も決定的な入札方法がない状況である。生産完了済みの製品を市場で競争売買する仕組みとして発展してきた市場経済は、既製品の商品生産を前提として新化してきたものであり、注文生産を前提としたものではないのであり、市場経済に馴染まない部分が多すぎるのである。

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