<38>混乱している一般競争入札の問題点
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/3/15(日) 20:34:48  返信も含め全削除

1.オーダーメイドの仕組みに反する競争原理
 オーダーメイドの市場は、注文者には品質や機能、デザイン等多くのこだわりがあり、その意図を汲んで生産するものであるから、通常の既製品市場のように「安ければ安いほどよい」という一般的な競争原理は通じない市場である。オーダーメイドの市場は、特注という特有の意図が作用する市場である。オーダーメイドの市場は、注文者自身の意図に関する深い思いがあるため、既製品市場のような単純な競争原理の導入で解決する問題ではない。民間工事等のオーダーメイドでは、一般競争入札制度が利用されないのはそのためである。公共調達の場合は民間と違い、競争性を入れなければならないから一般競争入札をせざるを得ないという意見があるが、この意見は基本的におかしい。規制を受けない民間市場が、オーダーメイドの市場において単純な一般競争入札を利用できないのは、市場原理に合わないからであって、公共調達だから仕方がなく一般競争入札にするという理由は、論理的ではないであろう。

2.一般競争入札を骨抜きにしている
 公共調達には競争原理が必要であるとして、競争原理を強行したのが一般競争入札であり、現行会計法は一般競争入札を原則としている。建設業は、建設業法によって許可を与え、次に経営事項審査によって、経営内容を審査し、更に発注者ごとの資格審査で格付され、適正化法や品確法の影響を受け、総合評価法による審査までされる。現場の施工が開始するまでには、二重三重の審査の網が掛かっている。建設業法上の許可や経営事項審査等の審査であれば、発注者保護という理念からも必要であるが、入札の不具合に関する総合評価法等の審査に至っては、形式的には一般競争入札といっているが、実際の中身は一般競争入札の自由性や競争性が極度に制限され、一般競争入札は完全に骨抜きの状態になっており、会計法の理念である一般競争入札とは程遠いものになっている。つまり一般競争入札の制度が、通常の姿で実施することができないことを露呈しているのである。これは骨抜きににしなければ利用出来ないためであり、一般競争入札制度が市場経済に合わないことを意味している。

3.指名競争入札の不透明さ
 指名競争入札は、入札参加業者の指名の段階が不透明であると指摘されている。指名は発注者の裁量で決定するものであるから、発注者の意図と受注者の意図がずれることは当り前である。発注者は、品質や機能、出来栄え、納期等の視点で適切な業者を選考したいが、受注者は企業の品質等の技術的問題だけではなく、施工量の余力の問題で参加を選択するものである。施工業者が工事の獲得を熱望していても、指名の選考漏れは当然発生する。このような不満や選考の不透明さを強く訴える。しかし一般競争入札の指名権の放棄も無責任な発注の仕方であり、一般競争入札の不合理の大きな欠陥である。指名競争入札は一般競争入札の欠陥を補うものとして考案された制度である。不良不適格業者の排除という観点から、施工業者の指名は重要な行為であり、その裁量権は発注者にあるべきものである。しかし指名行為が不透明であると指摘されているのであれば、国民の立場に立った透明性のシステムを研究をすればよいのである。

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