<39>総合評価法で一般競争入札の欠陥を補えるか
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/3/22(日) 15:25:01  返信も含め全削除

1.一般競争入札は既製品市場に限定すべき
 生産される前に激しい競争が作用する一般競争入札は、通常の市場取引において実施すれば、一般競争入札はあまりにも不合理な点が多く、その結果不具合が多発する。これは注文生産の取引形態に起因する問題であるから、既製品の市場においては不具合は発生しない。このように既製品市場と注文生産市場では取引形態が大きく相違するためである。民間における注文生産市場では、注文者が有利な取引形態を選択するため、一般競争入札にはならない。信用のおける生産者を見つけることが先決で、次に特命による随意契約となる必然性がある。一般競争入札があまりにも発注者の不利になるためである。つまり発注者にとって一般競争入札が不利になる点は、取り相手の指名権を放棄する点にある。大型な買い物をする客が「誰でもいいから安ければ安いほど良い」という選択は、既製品のナショナルブランドや買う前に品質を確認できる物に限り通用するものであって、オーダーメイドでは通用しないのである。

2.一般競争入札は既製品市場に限定すべき
 生産する前に乱暴な競争をするような一般競争入札は回避すべきである。民間の取引であれば、少しでも取引形態に不具合があれば直ちに修正することは当り前である。そのため民間の注文生産では、純粋な一般競争入札が成立しないのである。繰り返しになるが、既製品であれば一般競争入札に馴染み激しい競争にも耐えられるのである。それならば一般競争入札の制度は、既製品市場に限定すべきものであって、注文生産市場に運用することは無謀である。自分の住宅を建設する場合に「誰でもいいから安ければ安いほど良い」とはならないはずである。「信頼できる施工業者を決めてから適切な価格で生産して欲しい」という認識になるはずである。自分が発注する立場に立てば理解できるはずである。

3.総合評価法の行方
 総合評価法が提唱されてから10年ほど経過したが、一向に到達点が見えてこない。何故なら総合評価法の制度に問題があるわけではなく、原因は一般競争入札にあるからである。総合評価法は、一般競争入札の欠陥を補完するために考案されたものである。つまり、総合評価法を改善して価値を高めようとするほど、一般競争入札の不合理性を証明しているようなものである。この総合評価法の研究がどこまで進むかは分からないが、総合評価法の研究が進むほど競争の条件を厳しくすることになり、一般競争入札の制度を否定する結果になるのである。原理的にいえば一般競争入札の精神と、総合評価法の精神は相反するのである。総合評価法の研究が進む中で、一般競争入札という基本的概念が骨抜になろうとしている。それほど一般競争入札が不具合であれば止めるべきである。いよいよオーダーメイドの専門の市場認識が必要になってきた。もはや既製品市場に間借りしてオーダーメイドの取引をしている時代ではないのである。既製品市場から独立した注文生産市場を認知し、市場論として注文生産の不具合を解消するため、注文生産市場論として根本から研究する必要があるのである。

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