流通産業研究部会

2002/1/5

流通-1<テリトリー型商業文化の崩壊の衝撃>

流通-1-6<製品のライフサイクルが短命化>

 エリアレス化による地球規模の流動化は、エリアレスによる競争となるため、エリア型時代より競争が激しく作用する。そのため各分野の生産が得意分野に特化するため世界分業が始まった。その結果凄まじい勢いで製品の無国籍化が起きているのである。更に地球規模のエリアレスの競争は、競合製品の生まれることが多く、成長化する製品と衰退化する製品が激しく交差している。その結果、製品寿命が短命化させる結果が起きている。一方、科学技術の進展で益々技術革新による新製品の開発により、製品のライフサイクルが短縮化する現象が起きている。更に、成熟化社会による旅人型人間の行動は、新しいセンスの製品に反応し変化が速く製品寿命を短命化させている。

流通-1-7<エリアレス化で商業ゾーンの役割変化>

 エリアレス化時代になり、旅人型人間の行動は益々流動化し、従来型のエリア型商業ゾーンでは対応が難しくなってきたのである。消費者の行動範囲の拡大による購買行動や、購入行動である衝動買い・思い出し買い・ついで買い・目的買い等の購買パターンにも変化が起き、定型的な購買パターンが見られなくなってきた。商業店舗の設計や店舗のレイアウト等にも影響が出ており、さらに商業集団ゾーンにも大きな影響がでてきたのである。エリアレス化時代の中心商業ゾーンに新しい変化が出始めている。

流通-1-8<ドーナツ化現象時代に商業機能の適正配置が進む>

 高度成長期にすべての産業の効率化を上げることが命題であった。商業においても例外ではなく、商業効率化時代の現象が起きたのである。店舗構造の設計や販売システムについても販売効率優先であり、商業集団中心にも職住分離が進められて、中心部の空洞化が進んでいった。また、生活者も豊かになり、豊かな生活設計のため郊外型の住宅地へ移転がはじまったのである。地域住民自身も中心部を空洞化することに加担したのである。このためドーナツ化現象が急速にすすんだのである。このドーナツ化現象に大型店・中型店・専門店・コンビニエンスストア等が住宅街に適正配置が進み、住宅地の利便性を高めていったのである。

流通-1-9<住民は安全で居心地の良いテリトリーを期待している>

 今、何故地域コミュニティ論が叫ばれているか。動物はすべて安全で快適な生命維持環境を整えようとする。動物は本能的にテリトリーが重要な役割を果たすことを知っている。人類も地域エリアを安全で快適なオアシスゾーンを築き上げようとする。これが地域のコミュニティ論の中心にあるオアシスゾーン化である。しかし、オアシスをどのようにして構築すべきであろうか。その研究は始まったばかりである。現代人の生活リズムと新しい生活文化を、地域に合った快適なテリトリー文化がどんな形で現われるか。多くの研究課題がある。

流通-1-10<地域コミュニティ型テリトリーの要請>

 地域コミュニティを快適にすることは、人類にとって最高の観光資源であるかも知れない。従来型の大移動による大観光資源の見学型観光から、異文化体験型観光に魅力を感ずるひとが増えている。情報化社会では見学型観光に少し魅力に陰りが出てきたと見るべきである。一過性の観光資源見学型から、地域コミュニティを含めた魅力ある体験に人気が出始めている。魅力ある地域には人が集まり、この集積人口に対する公共投資の思想が出てきたし、エリアレス化時代の新しい居心地の良さの生活文化は、人類にとって最終的に大きな魅力であり、観光資源の重要なキーワードになる可能性がある。これからの研究が重要である。

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