建設産業研究部会

2001/10/17

建設-2<ISOを機能化する>ISOの失敗事例と再生化

建設-2-1 ISOが要求された社会的背景

(1) ISOについて
 国際標準化機構(International Organization for Standardization)が1987年に決めた世界共通の品質管理システムの制度である。近年、地球規模で流動化社会が進み地球規模の品質保証制度の要求が高まったので、品質管理等に関する世界的標準化の制度が出来上がったのである。ISOには、品質対応型ISO 9000環境対応型ISO 14000がある。

(2) ISO認証機関の環境について
 日本には,民間による認証機関が約40数団体あり、一般企業からISO認証の求めに対して有料によって行っており、ISO取得のためのサービス行為や継続審査等を各認証機関同士は競争関係にあり、ISO取得に関して市場においてサービス内容で競争する仕組みとなっている。

(3) ISO認証機関の選定について
 認証機関の選定については、認証機関のサービス内容・建設業の工事管理の知識が十分であるか、コンサルタントや審査員のレベルは確かであるか等を十分に検討し、最も適切な料金で認証機関を選定しなければならない。認証機関がピンからキリまであることを注意しなければならない。

(4) 品質対応型ISOについて
 ISO 9000シリーズは、品質管理責任者を明確にし、製品の設計段階からアフターサービスまでの品質管理全体のシステムを審査登録機関が検査し、品質保証が適切に機能しているかを評価する制度である。ISOは標準化された品質管理システムがマニュアル化されていることが前提で、標準化された品質管理のマニュアルやシステムが世界的に通用するもので、システムが適切に作用するものであることが重要である。

(5) 環境対応型ISOについて
 ISO 14000シリーズは、環境に関連する規格を生産・サービス・経営に関して、環境対応型の立案・運用・点検・見直し・環境管理・監査システムが整備されているかについて、認証機関が認証する制度である。近年は自然環境重視の時代であり、ますます重要視されてきている。

(6) ISOが要求された社会的背景
 JISが完成品自体の品質保証制度であるのに対し、ISOの思想は完成した製品自体の品質保証制度ではなく、製品が生産される過程の「品質管理システム」を評価する制度であり、どのような施工方法で完成させたかの施工過程を評価するシステムである。この点でJISの思想とは基本的に相違している。今日のように技術革新の激動時代には、生産工程等の進化が日常化している時代であり、生産工程等の進化を常時取り組む制度になっていなければならない。またQCやTQCが社内運動であるのに対し、ISOはJISと同様に外部の審査機関が第三者の立場で検査評定する制度である。近年は地球規模で流動化とオープン化が進み、地球規模の品質保証制度が強く要請されており、その社会的背景によってできた制度である。

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