建設産業研究部会

2001/10/17

建設-2<ISOを機能化する>ISOの失敗事例と再生化

建設-2-10 戦略的ISOの活用

(1) 新人材の受入とISOの活用
 超競争時代の市場経済では、時代合った新しい能力を持った人材が必要である。企業はこの新時代に対応するため、最適な人材を適時に確保しなければならない。日本の労働市場は、米国同様に正社員グループと非正社員グループ(フリーター、アルバイト、パート、派遣社員、契約社員、外国人等)に労働構造が二極分化してきた。フリーター等の自由労働市場は拡大の一途である。企業はこの自由労働市場から積極的に人材を適時に確保しなければならない時代になったのである。この新人材を即戦力化するためには、担当させる業務が標準化・システム化・マニュアル化しておかなければ、即戦力化することはできない。今こそマニュアル化やISOを武器として、新人材を採用した当初から戦力として活用するシステムを構築しなければならない。この人材有効活用にマニュアルは有力な武器であり、企業の生き残りに欠かせない道具であることを留意しなければならない。

(2) ISOを人材教育の道具として活用
 長く続いた年令型のピラミット型組織の人事体制が崩れ、近年、IT化と同時に新しい能力をもつ人材が要求され、従来型のピラミッド型人的組織を解体せざるを得なくなってきた。ピラミッド型の人的上下伝達システムから新しいネットワーク型・情報共有型の水平組織への変更をしなければならないことは時間の問題となってきた。人材についても新しい水平型のネットワーク組織に対応できる人材を養成しなければならないのである。この人材革命には、多くの費用や時間が必要で簡単なものではない。新しい電子ネットワーク型経営管理体制を早急に構築し、機能低下したピラミッド型人的組織を解体する必要がある。歴史的にみても過去とは比較にならない超競争社会に突入していることを認識し、この時代に対応できる人材を確保する必要がある。従来の体制のままで企業の存続は到底望めないであろう。新時代に対応する人材を戦力化するためISOを活用しなければならない時代が到来したとみるべきである。企業は、今までの経営手法の延長では自然死を待っているようなものである。今こそ企業の自然死を防ぐには、企業内を改革する以外に方法はないのである。ISOはその意味でも企業の大改革の道具として活用することができるのではなかろうか。

(3) ISOを組織の変革に活用
 本格的高度情報化社会に入り、すべてのビジネスシステムは、情報の統合化とスピード処理システムが要求されてきた。経営手法もIT化時代に対応するため機敏性がある経営管理方式に切り替えなければならない。高度成長期まではスローテンポ時代であったから、従来型の人的ピラミッド型のスローテンポ組織で十分に機能したが、近年のスピードビジネス時代には通用しなくなってきた。情報共有化による水平型のスピード管理システムに変えなければこれからの競争に勝つことができない。ISOも統合化型のシステムを構築し、ISOを戦略的に利用するネットワーク型の総合的スピード管理システムで稼動させなければならないのである。

(4) ISOを危機管理のセンサーとして活用
 日本人は、危機管理が弱いといわれている。たてまえで行動することが多く、本質的実態と遊離していることが危機に直面した場合の混乱に起因するのであろう。この危機管理に弱い日本人にISOの中に危機管理の機能を統合化させ、ISOを進化させるシステムを構築することで、ISOを更に有効に作用するシステムへと誘導することができるのである。デジタル信号化した危機管理システムを、更に高度化させることによって有効な安全管理システムの研究が進み、安全の危険予防システムまで進化させることが可能となる。この総合的事故予防システムを工夫進化させることによって、安全管理のセンサーの役割まで進化させるべきである。

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